Women’s 100: Timber Road

2008年、私は友人に誘われて112kmという距離を速い男どもに連れられて乗りました。当時私はサイクリストと呼べるような人間ではなく当然そのような距離を走った事などなかった。その日はティンバー・ロードという近場の長い坂を登りました。95kmも過ぎると完全に置いていかれ、3名が私を探しに戻ってきて向かい風の中ペースを組んでくれました。走り終わる頃には顔は真っ赤になり、自律神経が麻痺してヨダレは垂れ、顔は口をミスしたジェルでベトベト。

これほど醜い私はなかったでしょう。でもその時の私は最高だった。

このティンバー・ロードの話は以前にもしたことがありますが、別にティンバー・ロードという場所自体が特別なわけではないのです。ライドではハンガーノックになり、誰かが風避けになってくれないと全く進まないときもあり、誰でも今の自分を超えようとボロ雑巾状態になることがあり、私にとってはそれがたまたまティンバー・ロードだっただけなのです。この日私は新たな自分を発見しストーリーを書く人間として方向性を完全に変わったのです。私はサイクリストになったのです。そしてこれからはサイクリストとして振る舞うのだと誓ったのです。

それから4年経った2012年の夏、ツール・ド・フランスのコースを丸ごと5名の女仲間とトレースしている私がいたのです。毎日起きては200km走り、「フラット」なステージで2,500m登り、山岳ステージでは4-5,000m登り、パリに着いたときには3,700km以上走り、48,700m以上登っていたのです。

そうとう走り、登りました。

登っていていつも考えるのは皆さんと同じです。自分はクライマーではないということ。物理法則とやめられないお酒により私はクライマーにはなれないこと、これだけは決められているのです。ただ幸いにもクライマーでなくともどんな坂でも登れるということです。

フランスの峠はそれは素晴らしいものです。延々に続き時には斜度もきつくなる。超級の峠になると25km以上続き、私の世界では2時間以上に及ぶ道のりなのです。このときは25におよぶ峠を越え、クライマーでない人間が登ることをエンジョイできるのだと考える時間は十二分にありました。

登りで言えることはどの峠も同じということです。登りの始まりがあり、そして単純にペダルを回しているだけで見事にいつかは必ず頂上にたどりつけること。家の裏の坂から伝統的な峠まで同じことです。もちろん速く登ろうとして大仕事にすることもできますが、それは自らの判断で回避できます。

一度友人と乗って(登って)いての会話ですが、苦痛なんてどこにでもある感触であることで受け入れればいいだけだと。一つ越えて、また次に向かう。この禅的な苦痛との付合い方は当時は納得できなかったけど、今では登りにさしかかる度に思い返すようにしています。峠が投げつける肉体的な要求に答えるのは大変だが精神的な要求に対しては姿勢次第でなんとでもなるのです。

今年ツール・ド・フランスは100回目を迎え、 Raphaは100名の女性を7月7日に開催されるエタップ・ド・ツールに送り込みます。 中にはロード・サイクリングの世界とは初対面の女性も少なくなく、新たなる自分の発見に出くわすことでしょう。今日から当日の間で、どこかの練習ライドもしくは当日のフランスの峠道で何人かはそれぞれの「ティンバー・ロード」を体験することでしょう。

ティンバー・ロードに話を戻しますが、何が素晴らしいかというとそれはフランスの有名な峠でなかったことなのです。別にビッグ・イベントでもなかったということです。家から遠くない単なるオレゴンの田舎の狭い道でした。「ティンバー・ロード」はどこにでもあり皆さんのストーリーをより深く魅力的な物にしてくれるのです。それは日常、すぐそばにあったりするのです。

7月7日に100名の女性がフランスでエタップにアタックをかけている間に何気ない道路で何気ない街で 世界中の女性サイクリストが100kmという距離にチャレンジします。 すでにこの様な距離を走り慣れている人からデビューしたての人まで。私達がこのチャレンジに向けてのストーリーを伝えていく中で、7月7日が終わる時には「女性サイクリング」は新たなストーリーが始まることを予想します。私はこの特別で更に強くなるムーブメントの中にいることに皆さんと一緒に喜びを分かち合いたいと思います。苦しい中でくっきりと晴れて禅的モーメントを感じる人もでてくると思います。

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ハイディ・スウィフトのブログ、Grit & GlimmerではWomen’s 100のトリビュートとして 10 Mental Strategies for Staying Positive During a Hard Ride(ハードなライドでポジティブ思考をキープする10の精神的ストラテジー) を書いています(英語)。とにかく「ネガティブ思考はしまいなさい」。ハイディ・スウィフトは2011年に日本のシクロクロスシーンを自ら体験しに 野辺山高原シクロクロスレース に来日参戦しており雑誌Pelotonで参戦記を10ページにわたってストーリーを語ってくれています。