日本の冬 – 自給自足の生活

文: Kenji Yamada | Date:

日本ほど、古い歴史と現代性が見事に融合した国は他にはありません。21世紀の現代的都市と、昔とほとんど変わらない生活を続けている田舎の村との間で、その違いが最も顕著に表れます。都市に住む都会人は、先進国の中でも特に進歩した最先端の快適性や利便性を享受しています。時速320キロの速さで走る新幹線は、日本の優れたハイテク技術を代表する乗り物であり、速さだけでなく、抜群の安全性を誇ります。また、街角のあちこちに見られる自動販売機は、新幹線ほどのインパクトはなくとも、日本の優れた技術を象徴する便利な機械です。日本国内には約500万台の自動販売機が設置されており、国土面積あたりの台数が世界で最も多いとされています。中には、性別、推定年齢、天候に合わせておすすめの飲み物を提案してくれる、最新型自動販売機まで誕生しました。

2013年、東京大学が開発したロボットが宇宙に向けて出発。34センチの小型のヒト型ロボット、キロボが宇宙で初めて言葉を発しました。また、東京で開発が行われている炭素繊維ケーブルを使って橋を作る技術は世界の第一線をリードしており、筑波「研究学園都市」では、最先端の人工義肢や藻から作るバイオ燃料などの開発が進められています。しかし、一歩街を離れ、山奥の村へと足を踏み入れると、その風景は一変します。12月から2月にかけて、シベリアからの冷たい風が、太平洋からの湿った空気と山頂で混じり合い、周辺の山里を雪で覆います。山里に住む人々は、気温は0度を大きく下回る、長く厳しい冬に備えて万全の準備をしなければいけません。

厳しい冬を乗り切るための秘訣は、細やかな気配りにあります。冬の寒さから乳児を守るために、厚目のアシを使って織り上げた嬰児籠(えじこ)と呼ばれるベビーベッドから、食品を凍結乾燥して保存する「雪中貯蔵庫」まで、冬の到来に向けて、厳しい季節を生き延びるための準備が必要となります。または、これをチャンスと捉えることもできます。この状況を上手く利用し、周辺地域を探索し、巧妙に作られた革新的ツールのみを使って、壮大な距離を移動することもできます。これを最も上手く実践しているのがマタギ。冬場に日本の伝統的な手法で狩りを行う人々のことです。マタギの歴史は平安時代にまで遡り、その軽快な身のこなしと臨機応変な行動により、狩りを芸術の域まで引き上げました。現在では天然記念物に指定され、絶滅が危惧される偶蹄類、ニホンカモシカなどの野生の生き物を探し、山の奥深くへと分け入ります。マタギは猟犬として秋田犬を連れて行きますが、ここにも彼らのディテールへの気配りが見られます。秋の落ち葉の季節には茶色い毛の秋田犬を、雪に覆われた冬の季節には白い犬を選び、風景に自然と溶け込むよう工夫するのです。

優れた保温性を発揮する貴重な毛皮を得るためのクマ猟においても、マタギは同様の知恵を働かせます。冬眠中のクマが眠る洞窟へと入る際には、マタギ熊槍と呼ばれる3メートル(10フィート)もの長さの槍を使用しますが、マタギは移動中、狩りの後で採取した緑の木の枝を柄にしたナガサと呼ばれるナイフのみを携行します。日本の山村で使用されるこうした小さな道具類は、山樵(さんしょう)用具と呼ばれ、余分なものを省き、最低限必要なもののみを身につけるという哲学を象徴しています。獲物の肉はスモークして保存し、家に持ち帰りますが、こうした作業はすべてナイフのみを使って行われます。

また特筆すべきは、日本に古来からある宗教、神道では殺傷は許されていないという点です。そのため、何世紀にもわたってこの教えに背いてきたマタギは、命あるものを殺生することによって体や精神に染み付いた目に見えない汚れ、穢れを浄化するために白米を食するのです。

2014年のRapha秋冬コレクションには、過酷な条件下でもライドを楽しめるようデザインされたアイテムが揃います。機能的なプロテクション、人間工学に基づいたシンプルなデザイン、革新的ディテールを採用したRaphaのプロダクトには、冬を満喫するための完璧な装備が備えられています。

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