Festive 500: 半分でのチャレンジ

この毎年恒例のイベントの創始者は、500kmで十分だ、ということを理解する為に1,000km走る必要があったのです。

イギリスではホワイトクリスマスになることはあまりないですが、2009年は例外でした。 イーデンブリッジでは暖炉の周りでクリスマスキャロルが響き、シェリー酒がグラスに注がれていました。グレアム・レイバーンが霧に覆われた森の道を進んでいると、ハブの中でグリースが完全に凍るほど、その日は寒い冬の日でした。

「クリスマスのその日、私は母の家の外に自転車を放置していました。その時は、どれほど外が寒くなっているのかに気が付かなかったのです」と、Raphaリードデザイナーであるグレアムは語ります。「ロンドンに戻る途中の暗い森の中、寒さでペダルがギアと噛み合わず、『何が起こったんだ?』と思いながらも何とかハブを直し、その時は事なきを得ました」

グレアムは、この時思いついたクリスマスのプランを実行に移す前に、一度試すことにしました。そしてプラン自体も実際に素晴らしいものでした。『ツール・ド・フランスの父』と呼ばれるアンリ・デグランジュの著書である「Le Tête et les Jambes(頭と脚)」からひらめきを受け、人生で最も過酷で最高のチャレンジに挑戦する日をクリスマスにしたのです。クリスマスイブから大晦日まで、8日間で1000km走行するチャレンジです。1000kmという距離が“切りの良い距離”だと思ったのです。

「ちょうどこの時期、最初のPro Team製品のプロジェクトを進めていたところで、Rapha Condorのライダー達と冬の間に体形とモチベーションをキープする方法について話し合っていました。彼らと同じ状況に身を置けることはとても興味深い経験で、クリスマスから新年にかけては時間の余裕もありました。私自身、プロのライダーの様な生活をしてみたかったですし、結果的にとても有意義な休暇の過ごし方でした」

「とにかくつらく、毎日疲弊しました。夜が明ける頃に出発し、暗くなると戻ってくる。これは非常に厳しい挑戦でした」

グレアムは1,000kmを走り目標を達成しましたが、結果的にこの時期に自分を追い込み過ぎるのは「正直あまり意味がない」と感じました。そして、Rapha Condorの選手達がクリスマスから新年の間に走った距離も、1,000kmには遠く及ばなかったのです。

「おそらく500kmが、プロのライダー達が実際に走りきるのに妥当で、楽しめる距離だと思いました」

グレアムは、翌年にこのイベントを開催することを決めました。再びホワイトクリスマスとなった2010年、Festive 500を行い94人のライダーが挑戦。このイベントは毎年の恒例行事となり、去年は72,283人のライダーが参加し、その内13,311人のライダーが完走。これだけ多くの参加者がいるにも関わらず、誰もこの挑戦が簡単だという者はいませんでした。

他にも、グレアムはこのレースは、この体験を共有することが重要なチャレンジだと強調します。「私はこのレースを、グループで出かけて、新しいロードや場所を発見するような、もっと気軽にトライするものに変えていきたいと思っています。500kmも走りきる必要はありません。5回走行するだけでもいいし、出かけてみようと思う気持ちを持つだけでもいい。走ってみようと思う気持ちが一番重要です。もちろん、500km走破することは素晴らしいですが、自分なりのゴールを定めてその体験を楽しみましょう。自分のしていることを楽しみ、クリスマスにチョコレートを食べて増えた体重を減らさなくて済む位が、ちょうどいいモチベーションです」

「私にとってこのレースは、距離を競いあい、髪を振り乱して棒をかみ砕くような、激しい物ではありません。気楽にバイクで外に出て、いろいろな人と出会ったり、いろいろな人を訪ねたりというのが目的で、クリスマスが持つ精神と同じものです。確かに最初に1000kmを走ったときは、全てのものに立ち向かう男のレースという感じでしたが、今は正反対です」

更に500kmの挑戦で素晴らしい点は、息をのむような経験ができることだ、とグレアムは語ります。「私は、このイベントに挑戦しなければ見ることのなかったであろう美しい光景に出くわしました。誰もいない場所で、少しずつ現れる日の出に出会ったとき、「ああ、本当に素晴らしい」と感じたのです。」

このチャレンジは暗く霧がかかった森であがき、ただ500km走りきるイベントではないのです。

グレアム・レイバーンのFestive 500を成功させるヒント

  • 自分が住んでいるコミュニティの要素はとても重要です。新しい人達と出会い、走ったことのない場所を走ることはロードサイクリングの一つの楽しみなのですから。
  • 私の家族はこの挑戦にとても協力的です。自分の家族と一緒に南東部を訪れると、私もその地のイベントに参加することができます。人々はみな100km走行した後に、参加者に喜んで食事を提供してくれます。
  • 私は当日までに、自分の周りでどんなイベントがあり、どのライドに参加出来るかなど、ライドの計画を先に立てるようにしています。
  • 計画は早く立てるのが賢明です。決めるのが遅れ、ただただ走るというライドは避けた方がいいでしょう。
  • 安全面についても十分考慮しましょう。早朝や夕刻に走る人は必ずライトを点灯し、被視認性の高いハイビズウェアを着用しましょう。
  • 何かご褒美がある、というのも私にとっては重要な要素です。ライドの先に美味しそうな食事が用意されていたり、新しいソックスがあったりするだけで、大きなモチベーションになります。
  • そして必ず天気予報をチェックしましょう。